【S2使用構築】岩石封じヒードラン入りマンダナットスタン
本構築を考え始めた当初は、「積み構築とサイクル構築のハイブリッド」というコンセプトで組んでおり、並びもこれとは少し異なっていました。当初はね......
特性:威嚇→スカイスキン
性格:無邪気
実数値:170-189-150-149-99-189
技:捨て身タックル/流星群/地震/大文字
調整:
・A-C:捨て身+文字でHBエアームドが確定
・A:捨て身タックルでB4振りメガルカリオが高乱数1発(急所込みで82.42%)
・C:大文字でH振りナットレイを確定
・ミラー意識で最速
本構築不動のエースストライカー。といっても実は今回マンダが構築のスタートではなく、あるポケモンと並びを作れるメガ枠、というのが当初の採用理由でした。
このポケモンの技構成を考えるにあたり、後述するメンバーを決めていく中でガブリアスの迅速な処理ルートが欲しいと感じたため、流星群の採用を決定。その状態でも積んだ後のルカリオをマンダで処理する必要があったことと、リザードンにマンダ対面で行動させたくなかったことから、メインウェポンを捨て身タックルとし、ASベースでの採用が決定しました。特にリザYを上から安定して処理出来る点は重要なポイントでしょう。
同時に、流星群を採用した以上はミラーで積極的に撃ちたかったので、最速を確保しました。
ちなみにこのマンダ、Cを1削ってAに回すと、B4振りメガルカリオに対する捨て身の乱数が1つずれます。私自身は、HP満タンのルカリオとこのマンダが対面することはなかろう、ということで記事の配分のままとしていましたが、ナットレイ確殺を諦めるならばそちらの配分に変更する案も考えられます。
以上のように、わりと雑な理由で採用されたポケモンでしたが、使用感は申し分なく、「エース」と呼ぶにふさわしい大車輪の活躍を見せてくれました。特に流星群の刺さりが良く、こちらの想像以上に警戒されていなかったように感じます。
総じて非常に高性能なポケモンでしたが、捨て身や流星といった技の性質上消耗が激しいので、受け出しや技選択には注意を払う必要があります。特に流星を撃つタイミングの見極めが重要だと感じました。
ナットレイ@食べ残し
特性:鉄の棘
性格:生意気
実数値:181-114-158-x-178-22
努力値:H252 B52 D204
技:ジャイロボール/宿り木の種/守る/ステルスロック
調整:
・H-B:A156ミミッキュのA+2Zシャドークローを高乱数耐え(急所込みで82.03%)
・H-D:C147ゲッコウガの珠一致めざ炎を最高乱数切り耐え
・最遅
本構築の潤滑油的存在、マンダが剣ならナットは盾、といった感じです。ゲッコウガとカプ・テテフとマンムーに受け出しが出来てステロを覚えるポケモンとして採用しました。
配分は、役割対象が特殊に偏重している事から、生意気HDベースとしてみました。この配分でも意地マンムーの地震を2耐えしつつ遂行出来る位の耐久力があります。
使用感も申し分なく、サイクルのクッションとして優秀でした。
ただし、何度かタネマシンガンが欲しい場面もあった事と、思ったよりステロを撒く機会が少なかった事から、ステロを抜いて種ガンを採用してもいいかもしれない、と感じています。
特性:砂起こし
性格:腕白
実数値:215-133-187-x-92-67
努力値:H252 A4 B252
いわゆる物理受け枠。ガルーラ・ミミッキュ・メタグロスなどに受け出せる枠として採用しました。
配分は少しでも物理耐久を確保する為のHB特化です。ステロはスカイスキンの倍率低下によって下がったマンダの火力を補う為の技であり、岩石封じはウルガモスの起点を回避する為の技です。
しかし、カバ対面で悠長に舞ってくれるウルガモスはほとんどいなかった上、ヒードランのおかげでウルガモスはある程度ケア出来るようになったので、岩石封じよりも氷の牙を採用したほうがいいかもしれません。
霊獣ボルトロス@拘りスカーフ
特性:蓄電
性格:控えめ
実数値:159-x-90-210-119-136
努力値:H36 C208 D148 S116
技:10万ボルト/ボルトチェンジ/めざめるパワー氷/ヘドロ爆弾
調整:
・H-D:C155ゲッコウガのタイプ一致冷凍ビームを急所以外耐え
・S:スカーフ込みで最速メガゲンガー+3
・余りC
(理想値前提、実際の個体と異なります)
元々はチョッキを着せていた枠、この並びを考えた当初多かったカプ・コケコを受けるポケモンとして採用しました。
スカーフに変更したのは、相手の霊獣ボルトロスや、ゲッコウガといった厄介なポケモンを上から叩けるようにしたかったからです。ボルチェンはゲッコウガへの、ヘドロ爆弾はカプ・コケコへの、めざ氷はスカーフ以外のガブリアスや霊獣ボルトロスへの遂行技です。
また、CSに振り切る事で有利不利関係が動く相手がフェローチェ位しか居ない、と考えたので、CSぶっぱではなく、最低限のSを確保しつつ耐久に振ってみました。これにより、スカーフテテフなどの下からボルチェンを撃ちたい相手には下から動けて、ゲッコウガなどの上から叩きたいポケモンには先手を取れる、という非常に都合のいいポケモンとなる、と考えていました。
しかし、実戦では電気を一貫させてくれる事などそうそうなかったので、 拘り故の使い辛さばかりが目立つ事となってしまいました。検討するならまずはここから考え直したいです。
カプ・レヒレ@カプZ
特性:ミストメイカー
性格:図太い
実数値:175-x-183-115-150-108
努力値:H236 B252 S20
技:塩水/ムーンフォース/自然の怒り/挑発
調整:
・H:16n-1で最大
・B特化
・S:4振りクレセリア抜き抜き
当初から最後まで戦い抜いてくれたZ枠、クレセリアやポリゴン2といった高耐久ポケモンを崩すことが出来、なおかつメガギャラドスのストッパーになれるポケモンとして採用しました。
崩し性能を持ったレヒレの型としては瞑想型と怒り挑発型が考えられましたが、今回は崩しの速度を重視して後者を選択。Zクリスタルを持たせているのも、高耐久ポケモンだけでなく、レヒレが呼ぶグロスやナットを迅速に削りマンダの圏内に入れるためです。
塩水はガーディアン・デ・アローラと相性の良い水技、ステロ+怒りやガーディアン・デ・アローラを決めた後の相手には、波乗り以上の打点が出せます。
使用感も上々で、マンダナットレヒレ、という形がある種の基本選出となった程でした。何より、ミストフィールドのおかげで、この手のポケモンにありがちな「状態異常で機能停止」という問題をある程度無視できるのがありがたかったです。
ヒ―ドラン@炎Z
特性:貰い火
性格:控えめ
実数値:183-x-127-200-130-109
努力値:H132 B4 C252 D28 S92
技:大文字/ラスターカノン/岩石封じ/挑発
調整:
・H:8n-1
・H-D:C222メガゲンガーの気合玉を最高乱数切り耐え
・C特化
・S:岩石封じ1回で最速ミミッキュ抜き
(理想値前提、実際の個体とは異なります)
一番最後に入ってきたポケモン、元々は炎Zウルガモスだった枠であり、そこから変更したポケモンです。実は、本来そのウルガモスこそが本構築の出発点であり、ウルガマンダを軸としていたからこそ、当初「積み構築とサイクルパのハイブリッド」というコンセプトを立てていたわけです。
ではなぜ出発点だったウルガモスを抜いてまでヒードランを採用したのかというと、ウルガモスのままでは相手のウルガモスに舞われた瞬間ほぼ負け確定、というレベルでガモスが重かったからです。なおかつ、当初ウルガモスを採用していたものの、岩技を持っていそうなポケモンと選出段階で当たることが多く、ガモスの選出率が低かった、という事情もガモスの解雇を後押ししました。
ガモスの解雇を決めたのち、ドランを選んだ理由としては、ある程度の崩し性能が期待できることと、型次第ですが相手のリザやガモスをケアできること、以上の2点が挙げられます。
型に話を移すと、このドランは炎Z持ちであり、なおかつAに下降補正をかけているのに岩石封じを採用している、という変な型となっています。これについては説明が必要でしょう。
持ち物が炎Zである理由は、単純にパーティとの兼ね合いによるものです。
ドランの型というと、大きく分けて残飯型と眼鏡型の2つがあります。このうち残飯型は残飯をナットレイに取られていて使用不可能であり、一方の眼鏡型も、6世代の頃からこだわり故の使いにくさを感じていました。そこで、技を撃ち分けつつ、状態異常に頼ることなく崩し性能を持てるZクリスタルを持たせてみよう、と考え採用に至りました。タイプが炎である理由は単純な火力の高さと、霊獣ボルトロス対面で起点回避できるようにしたかったこと、という2点です。
続いて岩石封じの採用理由ですが、これは今期の中盤辺りから考えていたある発想を実行に移したものです。その発想とは、「中速の鋼ポケモンに岩石封じを仕込むことで、ミミッキュの起点を回避しつつアドバンテージを取る」というものです。
電磁波などのS操作では、ミミッキュの皮をはがせないのに対し、封じであれば、ミミッキュの皮はがしとS操作による縛り関係の逆転という2つの行動を一手でこなせる、というわけです。
なお他の技についても採用理由を述べておくと、文字は連打できる一致技の中で一番高火力だから、ラスカノは皮をはがしたミミッキュを縛れるメインウェポンだから、挑発は状態異常や眼鏡に頼ることなくポリ2やクレセを崩すために必要だから、という理由で採用しました。
では、そんなヒードランの使用感はというと、可もなく不可もなく、といった感じでした。肝心のミミッキュは意外とこのパーティに出てきてくれなかったので、そういった意味で封じの方はやや失敗だったかもしれません。
一方の炎Zの突破力はなかなかのもので、特に貰い火補正が乗ったZ大文字の破壊力はかなりものでした。半減でもH振りスイクンをマンダの捨て身圏内に押し込めるくらいの火力が出ます。
何より、ガモスをドランに変えてから、いわゆる「メガ+Z+一般枠」というパターンを増やして選出の柔軟性を上げることが出来、実際レートも伸びたので、そういう意味では良かったと思います。
もっとも、ガモスを抜いてドランに変更したことで、「霊獣ボルトが非常に重い」という別の弊害が発生したので、ガモスとドラン、どちらが良かったのか今となっては何とも言えません。
〔選出パターン〕
☆+or+or
基本的な選出パターン。
この構築における各ポケモンの役割をざっくり分けると、
エース:マンダ
クッション:ナット、カバ、(レヒレ)
崩し役:レヒレ、ドラン
となります。霊獣ボルトロスは補完枠なので、上5体だけではきつい時(ゲンガーや霊獣ボルトロスが見えている場合など)しか出しません。
この構築の場合、「クッション枠を中継点にしつつ、Z枠で崩してエースで締める」という流れが主な動きとなります。
☆++
変則的な選出パターンその1。カバルドンの役割対象(バシャ、ミミッキュ、バンギなど)とナットレイの役割対象(テテフ、マンムーなど)が相手PTの大半を占める場合に、カバとナットでマンダを後押しする選出です。
☆++
変則的な選出パターンその2。カバナットレヒレで受け回して詰めて行けそうな相手、具体的にはサザングロスやテテフバシャガルなどの並びに対して出します。
☆+2
変則的な選出パターンその3。ゲッコウガや霊獣ボルトロスなどの重い相手がいる場合に、霊獣ボルトロスを後押しして通しに行く選出です。
ラスト1体は霊獣ボルトロスの穴を埋められるポケモンを選択して出します。
〔苦手なポケモン・並び〕
☆霊獣ボルトロス
Z技の追加により、無慈悲さに拍車がかかったポケモンその1。このパーティも霊獣ボルトに積まれるとほとんどケア出来ません。
ヒードランのZ大文字を悪巧みに合わせるか、削ってマンダの圏内に入れるしかありません。
しかし前者の方法は一発芸な上に素直に殴られる可能性も充分ある、後者のルートもボルトの裏に高耐久ポケモンが居る場合そちらに引かれてサイクル負け必至、といずれの処理方法もやや無理があります。
Z技の追加により、無慈悲さに拍車がかかったポケモンその2。この構築では誰も受けられません。遭遇してしまった場合、ナット・レヒレ・ボルトの3枚のうちいずれか1体以上を選出し、ヒイヒイ言いながら誤魔化していました。
単純に炎+電気+氷の技範囲が受けにくいです。遭遇した場合は、ボルトロスで電気技をカットするよりも、ナットドランやナットレヒレのサイクルで削り倒すという姿勢で臨んだほうが誤魔化しやすかったです。
本来カプ・レヒレがフェローチェの処理を担う枠ですが、毒づきを持っている場合レヒレをフェローチェに突破され、サイクル負けしやすい印象です。
☆バンドリ
砂下で地面Zドリュウズに舞われた場合、ほとんどケア出来ません。その為、バンドリとマッチングした際は、
(2)上手く砂ターンを枯らしつつバンギを処理し、ドリュウズをマンダの地震で倒す
という2ルートの内いずれかを目指して立ち回る必要があります。
しかし、実際にはそうそう上手くいかないので、ドリュウズ本人やその取り巻きに崩され、崩壊させられていました。しかも前述した霊獣ボルトロスと同居している場合すらあり、そういう場合はほぼ勝てません。
こんな所でしょうか。この中でも、霊獣ボルトロスとバンドリに対する勝率が特に悪いです。他はそこそこ。
〔結果〕
最高/最終レート1901
最高順位2302位/最終順位2328位
〔雑感〕
今期はようやく曲がりなりにも1800芸人を卒業できました。運にも大いに助けられたとはいえ、この結果そのものには非常に満足しています。構築の完成度と最終日の根性両方の面から考えて2000には届く気がしなかったので、勿体無いという感覚はあまりありません。それは来期以降の宿題、ということにします。
一方、構築の出来栄えという面では大いに不満の残る仕上がりとなってしまいました。
本構築に対する不満を挙げると、
(A)当初のコンセプトから外れている事
(B)重大な欠陥がある事
(C)安定感が無く、使っていてストレスフルである事
という3点が挙げられます。
(A)については面子を見れば一目瞭然です。本記事の冒頭で積み構築とサイクル構築のハイブリッドが云々と偉そうに宣っておきながら、最終的には積み技が皆無となり、いつもの前のめりなサイクル構築に行き着いてしまいました。この体たらくははっきり言って看板倒れもいいところであり、大いに反省するべき点でしょう。
(B)の欠陥というのは、先述したゲッコウガや霊獣ボルトロスに関する問題の他にも、「龍舞したマンダを受けつつ処理出来るポケモンがいない」という欠陥の事も指しています。
この構築、本来マンダ受けの役目を果たすべきカバルドンがマンダに役割を持てない型であるため、龍舞マンダと当たってしまった場合、「封じ連打で相手のマンダのSを管理しつつ倒してもらい、こちらのマンダを死に出しして流星で倒す」という後手後手の立ち回りが強要されます。この為、例えば身代わり龍舞マンダに対する回答がほとんど存在しない状態であり、これも欠陥と言わざるを得ません。
(C)の不満は、構築の面子と技構成に起因するものです。このパーティ、不意の特殊技で即死するカバルドンや、不意の炎技で焼却処分されるナットレイなどのやや繊細なポケモンが多く、ただサイクルを回すだけでも神経がすり減りました。しかも流星群やら宿り木の種やらと命中不安技が多い為、使っていて非常に心臓に悪い構築でした。
......とここまではほとんど自己批判のような話をして来ましたが、本構築について、肯定的に評価できる点もありました。具体的には
(α)強い選出パターンを複数作れた事
(β)構築全体で見た「崩し」のしやすさ
という2点です。
(α)について述べると、本構築はシングルにて強い並び、とされる「メガ+Z+行動保証」というセットで幅広い相手に対応出来ていたと感じます。そのおかげで、多くの対戦において、パワーのある並びを選出する事が出来ていたと思います。
続いて(β)、これも良かった点でしょう。構築に「相手の想定を覆してアドを取れる型や技」を散りばめる事が出来た点は良かったと考えています。特に今期はなぜかマンダの流星群という技が舐められており、「相手の想定を覆してアドを取る技」として機能した事が、最終盤で波に乗れた理由の1つであろうと考えています。実際、この技のおかげで何度も勝利を手繰り寄せる事が出来ました。
最後に、シーズン2にて私の放送を見てくださった皆様、本構築の原型を試運転して下さったブライトンさん、そして私と対戦して下さった皆様、ありがとうございました。来期以降も潜っていくつもりですので、次はシーズン3でお会いしましょう。
〔Special Thanks〕(敬称略)
・ブライトン
・割りばし
・クラウディア