プレイングに関する意見
対戦を語る上で、「プレイング」という言葉をよく聞く。
しかし、私は以前からこの「プレイング」なるものに頼ることがどうしても不安定に思えてしまい、排除したいと考えている。
また、言葉自体についても、プレイングとは一体なんなのか、という定義が不明瞭なまま独り歩きしているような印象がある。
そこで今回は、FFの方から頂いた意見を元に「プレイング」という言葉を定義してみた。
結論から先に言ってしまうと、
・想定外の事態でこそプレイングが問題になる
・「プレイング」という概念には自分のスキルで完結出来る見方と、相手という要素が不可分の見方という2つの見方が混在している
以上2点が私の考えである。
これらのうち、プレイングの定義に関して言えば、後者の相手に影響されるプレイングについてはなるべく排除していくのが今後の目標である。
目次
☆先行記事に対する意見
☆「プレイングで勝つ」とはなんなのか
☆まとめ
☆先行記事に対する意見
パッケージ氏のこちらの記事によれば、プレイングとはある盤面において、もっとも勝率の高くなる手を選び取る行為であるという。
確かにこの定義であれば、一般的な「プレイング」という単語の使われ方をうまく説明できるように思う。
例えば手を見極めるという点でプレイングの上手い下手を論じる事が出来るし、所謂プレミという単語も「より勝率の高い手があるにもかかわらず、それとは別の手を選んでしまうこと」と定義できる。
さらにこの記事では、多くの相手に太い勝ち筋を用意出来るPTが強いPTである、とも定義されておりこれにも違和感が無い。
ただ、どうしても腑に落ちない部分がある。それは、
プレイングはそのPTの太い勝ち筋をしっかり盤面に出すという行為であるためこちらも重要
という一文である。
私としては、「太い勝ち筋を盤面に出して勝つまでのルートを考える」所まで構築段階で考える事であって、「太い勝ち筋を通す」というのはプレイングの範疇では無いと考えている。
なぜなら勝ち筋を考えるということは盤面に出す手段を決めておく事と不可分だからである。「どうやって勝つか」と考えることはすなわち「どのような試合展開を経て勝つか」と考えて事であって、それを想定出来ているならば、試合中にわざわざ1番勝率が高い手を「選ぶ」必要がない。試合の展開は事前にシミュレートしているのだから、それに沿って動くまでである。
なぜこうまでいうのかというと、実際に「ABCという並びに対してCDFと選出して甲乙丙と動いて勝つ」という所まで決めて構築された並びが実際に存在し、それを目標としているからである。
例えばこちらの記事では、選出パターンとそれを出す相手、動き方まで細かく書かれている。
この記事を書いた方にこれを構築段階で考えていたのか伺ったところ、次のような答えをいただいた。
つまり、この方はどのようにして盤面に勝ち筋を出して勝つか、という動き方まで構築段階で決めておられた、という事である。
この事からも、私は「太い勝ち筋を考える」という行為は構築段階で決めておく事であって、プレイングの問題ではないと考えている。
むしろ、事前にシミュレートした展開から外れた時にこそ、「プレイング」が問題になるのではないか。
☆「プレイングで勝つ」とはなんなのか
ここまで、太い勝ち筋を通すのはプレイングではなく構築段階の話であり、むしろ想定外の事態でこそプレイングが問題になる、と主張した。
この考え方に則ってもなお、「最も勝率が高い手を選ぶ行為」という定義である程度プレイングを説明する事は出来る。
この定義に則るなら、プレイングとは、想定外の盤面でも、最も勝率が高い手を選ぶ行為、というわけである。
しかし、この定義だけでは説明しきれない概念も存在する。それは「プレイングで勝つ」という概念である。
「プレイングで勝つ」という言葉に先ほどの定義を当てはめると、「プレイングで勝つ」という行為は、「最も勝率が高くなる手を選び続ける事で勝つ」と言い換えることができる。
確かにこの説明でも日本語として矛盾はないが、どうにもしっくり来ない。
プレイングに関してしっくり来ていない概念があるという事は、「プレイング」という概念に、勝率が1番高い手を選ぶ行為、という定義以外の意味付けがされることもある、という事になる。
こちらの「プレイングで勝つ」という概念を上手く説明出来そうな定義としては、ブライトン氏が提示された見方が挙げられる。
氏によれば、プレイングとは勝負を有利にする手段であり、「択の成功率を高めるための根拠や知識、構築の理解度を含むもの」であるという。
これを言い換えると、その場の状況に応じて勝ちへのルートを描く事、と捉える事が出来る。
パッケージ氏の定義と違う点は、「相手」という要素が関わっている点である。
勝率が高くなる手を選ぶだけなら自分のスキル1つで完結出来るが、「状況」という要素に踏み込むならば、相手の思考や行動を無視出来ない。
有利な状況から詰める時には相手が狙うであろう勝ち筋(=自分の負け筋)を考えるし、捲りにいくときには相手がどう詰めてくるか考えて動くからである。
そして「プレイングで勝つ」という言葉を使う時の「プレイング」とはこちらの見方で意味付けされているのではないか。
こちらの見方を当てはめると、「プレイングで勝つ」という行為は、「状況に応じて相手の行動を見極め対応して勝つ」行為だと説明出来る。
こちらの説明の方が、「プレイングで勝つ」という言葉の「事前のシミュレーションではなく、その場のアドリブで勝つ」というイメージをより的確に説明しているのではないだろうか。
なおかつ、この「状況に応じて勝ちへのルートをアドリブで描く」という定義を使えば、冒頭で挙げた「プレイングに頼るのは不安定」という感覚にも説明が付く。
その場その場で相手の行動を見極めようとする時、それが根拠を持ったものだとしても、「相手が」その根拠に則って動いてくれるとは限らないからである。
例えば、よくある「相手がAを失ったらこちらのBを処理出来なくなるから交代読みをする」という行動、これも不安定な行動である。相手がAを失っても構わないと考えている場合この行動は失敗してしまう。
このような不安定な行動は可能な限り減らしていきたいし、今後は「構築段階で勝ちへのルートをシミュレーションする」という意識を持って構築を組んで行きたい。
☆まとめ
長々と書いて来たが、以上の内容をまとめると、以下のようになる。
・プレイングには自分のスキルで完結する見方と、「相手」という要素が絡む見方がある
・「太い勝ち筋を盤面に出す」のは構築段階で考えておく事でありプレイングの範疇ではない
・「プレイングで勝つ」という言葉を使う時にイメージされるのは後者の概念である
前者の最も勝率の高い手を選ぶという行為は流石に排除しようがないのに対し、後者は試合以前の段階で勝ちへのルートをシミュレーションしておく事で減らせると考えている。
今後は「プレイングで勝つ」のではなく「構築で勝つ」という勝ち方を目標にしたい。